ロンドンの伝説的なスタジオがGenelecのイマーシブ・システムを導入 - RAK Studios
伝統を軸としながらさらなる進化を目指すRAK Studiosは、歴史あるStudio 4をイマーシブ・ミキシング可能な究極のリファレンス空間にすべく全面的な改装を施し、Genelec “The Ones” スマート・アクティブ・モニター・シリーズを中心としたスケーラブルな9.1.4モニタリング・ソリューションを導入しました。
改修にあたりRAKでは、Studio 4に導入するイマーシブ・システムの具体的な設計やアイデア、またビジネス面での計画について入念な話し合いが進められました。特に重要視されたのは、どんなプロジェクトにも対応できる柔軟性のあるシステムの実現です。最新のイマーシブ・スタジオであると同時にワールドクラスのステレオ体験も提供できる多目的なスタジオが求められました。
「今回の様なプロジェクトの場合、スタジオ内の部分的な改修ではなく、全てをゼロから作り直す必要があります」
RAK Studioのスタジオ・マネージャーEmma Townsend氏は語ります。
「この部屋を改修するにあたり全てを撤去し、最初から作り直すことにしました」
部分的な改修ではなく全面的な建て直しを決断したRAKのチームは、この空間で何を実現したいかについて具体的な検討を開始しました。新スタジオの音響設計はLevel Acoustic Design、施工はStudio Creationsが担当することになりました。
RAKのジェネラル・マネージャーAndy Leese氏は語ります。
「私たちが作ろうとしていたのは単なるDolby Atmosスタジオではありません。Dolby Atmosやステレオ・フォーマットのミキシングだけでなく、ライティング・セッションやコラボレーション作業も行える多目的な空間にしようと考えました。長時間過ごしたくなるような本当に快適な場所にしたかったのです」
写真:Bennie Curnow
Level Acoustic DesignのMatt Ward氏は次のように語ります。
「設計に関してはRAKチームと協力しながら、いくつかの目標をバランス良く達成することを心がけました。サウンド面でまず重要視したのは、ワールドクラスの音響空間を実現することです。また建物外の道路、上階にあるアーティストやプロデューサーのための宿泊施設との隔離性を大幅に改善する必要がありました。そして最後に、ほかのスタジオを踏襲し、RAKに相応しい美しい外観や雰囲気であること、チャルバート通りに面した窓からの自然光を取り込むこと、また他のスタジオと行き来可能にすることも求められました」
これらの目標を達成するため、最適な機材を選定するための調査が開始されました。RAKの様々な環境であらゆる主要メーカーのスピーカーを試聴した結果、エンジニア・チームは満場一致でGenelecスピーカーを選択しました。
Genelec地域事業開発マネージャーAndy Bensley氏は次のように語ります。
「RAKのエンジニア・チームの皆様をGenelecのエクスペリエンス・センターLondonに招待しました。彼らはThe Onesが持つ極めて制御され一貫した拡散特性やワイドなステレオ・イメージング性能、そしてW371 アダプティブ・ウーファー・システムの低域拡張性などをとても気に入ってくれました。彼らがRAKの新しいスタジオに求めていたものが、Genelec製品のコンセプトと一致したのです」
最終的なシステムとして、フロントとサラウンド・スピーカーに9台の8361 3ウェイ同軸モニター、そしてLCRのパフォーマンスを拡張するW371 ウーファー・システムが3台採用されました。また、4台の8351がハイト・チャンネルに、2台の7380 サブウーファーがLFEチャンネルに導入されています。さらにGLMソフトウェアがメイン・システムのキャリブレーションを行い、室内周波数特性や距離遅延の補正やレベル・アラインメントが適用されています。
最終的に究極のイマーシブ・システムを構築することができました
Bensley氏は次のように述べています。
「Level Acousticの設計とStudio Creationの施工の精度が非常に優れていたため、理想的なシステム・キャリブレーションを行うことができました。GLMで最初に測定した時点ですでに十分満足できる結果が得られており、ここからさらにシステム・キャリブレーションを行うことで、最終的に究極のイマーシブ・システムを構築することができました」
Genelecモニター以外の機材としては、Avid MTRX、HDX 3、S1コントロール・サーフェイスによるPro Toolsシステムが稼働するほか、Grace Design m908イマーシブ・モニター・コントローラー、そしてRAKスタジオでお馴染みの往年のアウトボード類も導入されています。
完成したStudio 4は、RAKの美学を継承しながら、アーティストが新たな創造性を発揮できる最先端の空間として生まれ変わりました。Townsend氏は続けます。
「RAKにはすでに3つの素晴らしい録音ルームがありますが、用途によってクライアントが選ぶ部屋は異なります。Studio 4に求められていたのは、リスニング、作曲、ミキシングに最適な空間です。今回の改修でその目標を達成できたと実感しています。Studio 4の利用者は皆、この部屋のサウンドをとても気に入ってくれています。本当に良い音がしますよ」
また、Ward氏は次のように述べています。
「私たちの設計をStudio Creationsが見事に形にしてくれました。そしてGenelecのモニタリング・システムによって素晴らしいスタジオ空間が誕生しました。これほど嬉しいことはありません。ポイント・ソース・デザインと限りなく理想的なインパルス応答を特徴とするThe OnesシリーズをGLMで管理することで、Dolby Atmosアレイが驚異的な3次元イメージングとディテール豊かなアーティキュレーションを再現します。またW371 ウーファー・システムを組み合わせることで、20Hzまで伸びるスムースでクリアな低音域の再生が可能です」
Leese氏は次のように結論づけます。
「RAKで行われる多様なプロジェクトの全てに対応できるスタジオを作りたいと考えていました。そしてそれは、私たちの今後の計画とも見事に合致しています。本当に素晴らしいサウンドになりました。部屋が馴染んでくれば、もっと良い音になるでしょうね。スタッフ一同、本当に満足しています。外観や雰囲気は元々素晴らしかったのですが、内部がしっかりと作り込まれたことで、さらに魅力的な部屋になりました」
RAKスタジオ・インタビュー | ロンドンの伝説的なスタジオがGenelecのイマーシブ・システムを導入
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