BRIAN ENO AMBIENT KYOTO - Genelec が空間をよりクリエイティブにする
「聴き手に向かってくるのではなく、周囲から人を取り囲み、空間と奥行きで聴き手を包み込む音楽」。『BRIAN ENO AMBIENT KYOTO』は、アンビエント・ミュージックの定義となるこれらすべてを体感できる参加型の展覧会です。その情報解禁が行われるや否や、世界中のアーティストがソーシャルメディア等でこぞってシェア。この動きはイーノ氏が世界中に与えた影響の大きさはもちろんのこと、この京都で行われている展覧会への注目度の高さを物語っています。
今回、会場として選ばれたのは、築90年という長い歴史を持つ建造物である京都中央信用金庫の旧厚生センター。この建物をまるごと1棟使用して開催されている本展では、イーノ氏の4つの作品が展示されています。その中でも長い歴史を持つ代表作である「The Ship」と「77 Million Painring」では、限られたスペースでもフレキシブルに設置できるサイズでありながらスタジオ・モニターとしてのサウンドと信頼性に定評ある8020、8320、G Oneが使用されています。
今回、Genelecのスピーカーが活用された「The Ship」と「77 Million Painting」にはある共通点があります。それはできる限りリスナーにスピーカーを意識させず、足を踏み入れた瞬間から作品の世界へと没入して欲しいということです。
マーティン 「アンビエント・ミュージックにおいては、空間的なサウンド・デザインを行います。ブライアンのイメージを表現するために、Genelecのスピーカーは欠かすことのできない要素のひとつです」
こう語るのは、2014年からイーノ氏のサウンドにおける「右腕」を務めるマーティン・ハリソン氏です。
代表作のうちのひとつめとなる「The Ship」は、真っ暗な部屋のなかで「いつ」「どこ」で立ち止まるかによって、まったく異なる体験ができる「音」にフォーカスを当てたサウンド・インスタレーション作品。当初はビジュアル作品として発表されたそうですが、長い時間を経るに連れ、やがてビジュアル的な要素を離れて音の空間を作り上げるという作品へとシフト。その過程で、使用するシステムに求める要素も変化していったそうです。
マーティン 「The Ship」はブライアンが随分前に発表した作品で、歴史もあります。当初は、フロアに設置するスピーカーにすべて違う種類のものを使用していました。壊れたスピーカーをあえて使ったこともありましたね。当時、この作品には、スピーカーが持つキャラクターが重要だと思っていました。ですが、スピーカー自体にキャラクターがあると、サウンドが安定しないという問題点がありました。そこで目をつけたのがGenelec。Genelecを導入したことでサウンド・システムそのものの安定性が向上してくれましたし、小型でフレキシブルな設置性の良さは、よりクリエイティブな空間をデザインすることを可能としてくれました。
瞑想をするような空間を目指した作品において他にはない選択肢
もうひとつの代表作である「77 Million Paintings」は、スクリーンのビジュアルと音、光……。空間を構成する全ての要素が、ゆっくりと時間を掛けながら変化する作品です。空間の中でリラックスした精神を創り出すことをテーマとし、設置されたスピーカーそれぞれからは流れる音の素材がランダムに重なり合うことで、無数のコンビネーションを生み出す仕掛けです(これが作品名の「77 Million」の由来でもあるそうです)。
本作に集中できる空間を作る上で求めたフレキシブルな設置性と共に空間に溶け込むデザイン性も、Genelecを使用する大きな要素だったと話します。
マーティン Genelecの魅力は、さまざまなセッティングにもフレキシブルに対応できることと、空間に溶け込むデザイン、そしてサイズを超えたサウンドを奏でられるということです。もちろん、Genelecにたどり着くまでの間に色々なスピーカーをテストしたこともありました。しかし、サイズがコンパクトだとフラットさに欠けたり、逆に音が良くてもカラフルなデザインだったりブライアンの作品にはふさわしくないものばかりでした。それがGenelecの場合はフラットなサウンドでありながら、コンパクトな筐体で持ち運びと設置の負担も軽減できる。また、スタジオ・モニターとしてのクオリティが高く、長い期間使い続けてきてもこれと言った問題も起きていません。この点もGenelecに信頼を寄せることができた大きな理由です」
世界中のスタジオで信頼されているクオリティの高さと、音響特性に優れる軽くて頑丈なアルミニウムの筐体。フラットで再現性の高いサウンドは、スピーカーの存在を気にすることなく瞑想をするような空間を目指した作品において、他にはない選択肢であったとマーティン氏は話します。
本展で展示されたGenelecを使用する「The Ship」と「77 MIllion Painting」は、共に長い歴史の中で変化を重ねて来た作品です。『 BRIAN ENO AMBIENT KYOTO』は、現時点におけるその集大成を体験できる貴重な展覧会ということも見逃せません。
マーティン もし、『BRIAN ENO AMBIENT KYOTO』にお越しいただいた際には、皆様には時間をかけてそれぞれの作品をゆっくり楽しんで、ゆっくりと移り変わる空間でリラックスしてください。
『BRIAN ENO AMBIENT KYOTO』は好評に伴い、開催期間の延長も決定。2022年9月3日(土)のまでの開催です。
BRIAN ENO
プロフィール ミュージシャン、プロデューサー、ヴィジュアル・アーティスト、アクティビスト。70年代初頭にイギリスのバンド、ロキシー・ミュージックの創設メンバーの一人として世界的に注目を集め、その後、一連のソロ作品や様々なコラボレーション作品を世に送り出している。プロデューサーとしては、トーキング・ヘッズ、ディーヴォ、U2、ローリー・アンダーソン、ジェイムス、ジェーン・ シベリー、コールドプレイなどのアルバムを手がけ、デヴィッド・ボウイ、ジョン・ハッセル、ハロルド・バッド、ジョン・ケイル、 デヴィッド・バーン、グレース・ジョーンズ、カール・ハイド、ジェイムス・ブレイク、そして実弟のロジャーとコラボレーションを行な っている。音楽活動と並行して、光や映像を使ったヴィジュアル・アートの創作活動を続け、世界中で展覧会やインスタレーションを行っ ている。ロジャー・イーノとは、初の兄弟デュオ・アルバム『ミキシング・カラーズ』(2020年) をリリースしている。これまでに40枚以上のアルバムをリリースし、ヴェネツィア・ビエンナーレ、サンクトペテルブルクのマーブル・パレス、北京の日壇公園、リオデジャネイロ のアルコス・ダ・ラパ、シドニー・オペラハウスなど、広範囲に渡ってアート・エキシビションを行なっている。長期に渡るスパンで文化的施設や機関の基盤となることを目的とする「Long Now Foundation」の創設メンバー、環境法慈善団体「ClientEarth」の評議員、人権慈善団体「Videre est Credere」の後援を務める。2021年4月には「EarthPercent」を立ち上げ、音楽業界から資金を集めて、気候変動の緊急事態に取り組む最も影響力のある環境慈善団体への寄付を行っている。
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